統合失調症
精神科でみることの多い、代表的な疾患です。思春期〜青年期に発症することが多いと言われますが、それ以外の年齢で発症することもあります。発症率は100人に1人と言われており、それほど珍しい病気ではないと言えます。
さまざまな症状がありますが、陽性症状、陰性症状、認知機能障害に分けて考えてみます。
陽性症状:普段ならないはずのものがあるように(陽性)感じる
妄想(危害を加えられている、狙われている、盗撮されているなどと確信)
幻覚(正体不明の声が聞こえる、いないはずの人が見えるなど)
思考の障害(考えがまとまらず、思考の道筋が一貫しなくなる)
陰性症状:普段ならあるはずのものがなくなる(陰性)
感情の平板化(喜怒哀楽の表現が乏しくなる、周囲へ無関心になる)
貧困な思考(比喩などが使えなかったり理解できなかったりし、会話が乏しくなる)
意欲の減退(自発性が乏しくなり、身の回りのことにも無関心になってしなくなる)
自閉(自分の世界に閉じこもり、他人とのコミュニケーションをとらなくなる)
認知機能障害
情報処理能力、注意力・記憶力・集中力・理解力や計画能力・問題解決能力など障害
(通常なら無意識に発揮されるこれらの能力がうまく働かず、全体的な状況をうまくとらえられなくなって生活に支障が出る)
陽性症状である幻覚や妄想により、自分が迫害される、被害を受けるといった体験を、正体不明の相手から受けると感じるわけですので、自分の周囲が不気味に感じたり恐怖に感じたりします。
一方で、陰性症状のために感情が乏しくなり、さまざまなことへの関心が低下します。
結果として、周囲との接触が乏しくなり、また自分への関心も乏しくなるので、身なりが整わなくなることもあります。
そして認知機能障害により、頭の回転がうまくいかないので、さまざまな影響が出て生活しづらくなってしまいます。
統合失調症の原因はまだ全て解明されたわけではありませんが、生来のストレスへのもろさなどに、環境の要素や日常ストレスが重なるなど、複雑な要因が絡み合って発病すると言われています。
育て方とか家庭環境が原因で発病するわけではありません。
より細かく見ると、脳内物質のやりとりの調整がうまくいかなくなっていることが発病の原因と考えられており、そのバランスを整える抗精神病薬というおくすりを服用すると、症状が改善する方が多くいらっしゃいます。
そして、服薬を続けることで再発する可能性を1/5に低下させることができます。
お薬だけではなく、精神療養やリハビリテーションなどを組み合わせていくことが大切です。
これにより、急性期の苦しい症状を乗り切り、再発を予防しながら社会生活へ適応して落ち着いて生活ができるよう、医師とよく相談して治療を続けるとよいでしょう。