持続性抑うつ障害(気分変調症)
うつ気分が長期間にわたって続いてしまう疾患のことと言えます。
現在の分類であるDSM−5では、持続性抑うつ障害と呼ばれるようになりましたが、過去の分類では気分変調症と呼ばれていたものに相当するでしょう。
どのような症状がみられる?
・うつ気分
うつうつとした気分がほとんど一日中続きます。
そして、このような気分がある日の方がない日よりも多く、しかもこのような状態が2年以上にわたって続くとされます。
子供や青年では、怒りっぽい気分のこともあり、それが1年以上は続くと言われています。
これら気分の症状に加え、下記のような症状のうちいくつかを伴います。
・食欲の低下、逆に増加
・眠れない、逆に寝すぎてしまう
・気力が低下する、または疲れやすい
・自尊心が低下する
・集中力がない、決断できない
・絶望感
この慢性的に症状が続いている期間の前に、うつ病レベルの症状を認めることがあります。
これらの症状が長く続くことにより、日常生活や職業生活などで大きな支障が出てきます。
注意が必要なのは、持続性抑うつ障害(気分変調症)はうつ病の症状が軽いものなんだという誤解です。
うつ病では、その瞬間だけ見れば家から出られず食事もとれず痩せていくという強い症状がみられますので、なんとか食事をとれる持続性抑うつ障害(気分変調症)の方が症状は軽く見えます。
しかし、実際の生活では持続性抑うつ障害(気分変調症)の方が障害度が高い、つまり対人関係が難しく、健康状態も悪く、社会機能や職業機能も悪いというデータがあります。
症状そのものよりも、生きていく機能に大きな支障をきたしてしまうと言えるでしょう。
さらに、うつ病のようにいつから調子が悪くなったという感じではなく、典型的には思春期前後に気づいたら悪くなっていてそれが続いている、というような経過をたどります。
そして、自分に自信がなく不適切だと感じる傾向、悲観主義で絶望的に捉える傾向、全般的な面へ興味や喜びを感じられない傾向、引きこもり傾向、慢性的な疲労感、罪悪感やくよくよ考える傾向、イライラしたり過度に怒りっぽい傾向、活動性の低下、集中力の低下、のような特徴のいくつかをみられる場合もあります。
頻度と特徴
生涯有病率は約6%と言われています。
他の不安症やパーソナリティ障害と並存することがよくあります。
また、薬物やアルコールなどの物質の使用障害も併発する危険性があります。
先述のように、持続性抑うつ障害は小児期や青年期、成人早期など人生の早いうちに、しかも気づいたら発症していることが多く、慢性に経過します。
うつ病レベルまで症状が強まることがありますが、その後はまた元の持続性抑うつ障害のレベルに戻ることが多いです。
しかし、持続性抑うつ障害のうつ症状が一定の期間内に回復する可能性は、うつ病よりはるかに低いとされます。
治療
抗うつ薬などの治療、対人関係療法や支持的精神療法などの精神療法を行なっていきます。医師とよく相談して治療を進めていくとよいでしょう。