奈良の心療内科・精神科「JR奈良駅前こころのクリニック」。うつ病、不眠相談、認知症サポート、ストレス障害、不安障害、強迫性障害、パニック障害、患者様が健やかさを取り戻せるようお手伝いをさせていただきます。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症

認知症状態になる病気のうち、アルツハイマー型認知症に次いで多いと言われる疾患です。
全体の20%ほどを占めると言われ、それほど珍しい疾患ではありません。
それでは、どのような症状があるのでしょうか。

レビー小体型認知症の症状

(1)認知機能障害
他の認知症を起こす疾患と同様、レビー小体型認知症でも認知機能障害(思い出せない、覚えられない、時間や場所がわからない、など)を認め、判断力が低下して日常生活に支障が出てきます。
しかし、最初は記憶障害が目立たないことも多いのが特徴です。
一方で、注意力が散漫になったり、ものを見間違えたり、ものがゆがんで見えるなどの症状も目立ちます。

(2)認知機能の変動
別の特徴として、(1)の認知機能障害が日や時間帯によって良くなったり悪くなったりする、つまり変動するということが挙げられます。
周囲から見ても「しっかりしているときと、ダメな時が明らかにある」とわかることもあります。この「変動」も、レビー小体型認知症の大きな特徴です。

(3)幻視
さらに、実際にはいないはず・ないはずのものが見えるという症状も特徴的です。「幻視」といいます。幻視といってもぼんやり見えるというより、レビー小体型認知症ではかなりリアルにみえるようです。
たとえば、「そこに知らない人が座っている」などと、はっきりと見えるとおっしゃいます。また、見間違い(錯視)もよく認めます。

(4)パーキンソン症状
パーキンソン病で見られるような症状が目立つようになります。
動作が遅くなり、表情が乏しくなったり、筋肉の動きがぎこちなくなり、小刻みな歩行、転びやすくなるなど、です。

(5)レム睡眠行動異常
レム睡眠では通常、脳は活動している一方で身体は寝ています。このため、夢を見ていることが多いのですが、身体は動かないのが通常です。
しかし、レビー小体型認知症の方では、このレム睡眠の時に身体が寝ておらず、身体が動いてしまうことがあります。このため、眠っているのに大声で叫んだり、怒鳴ったり、暴れたりすることがあります。

(6)自律神経の不調
自律神経(交感神経、副交感神経)の調節がうまくいかず、身体的な不調が起こります。
立ちくらみ、発汗、便秘、頻尿などがあり、場合によっては転倒したり気を失うこともあります。

(7)うつ
うつ症状もレビー小体型認知症の方に多くみられます。

症状としては以上のような特徴があります。
原因としては、病名の通りなのですがレビー小体という物質が脳に溜まることで発症すると考えられています。
症状の中に、(4)パーキンソン症状というものを挙げましたが、パーキンソン病でもレビー小体が脳(脳幹という場所)にたまりますので、症状が重なる部分もあるわけです。

現時点で、レビー小体型認知症を回復させる治療法はありませんが、おくすりを使って進行を遅らせることはできると考えられています。
また、注意力の障害を改善したり、症状(3)で挙げた認知機能の変動を少なくすることも期待できます。
他に幻視などの精神的な症状へお薬を使うこともあり、パーキンソン症状や便秘などの自律神経の不調にもおくすりを使うことがあります。

注意が必要なのは、レビー小体型認知症の方は、おくすりにとても敏感だということです。
通常の用量でもおくすりが効きすぎたり、副作用が強く現れたりすることがあります。治療は、医師とよく相談して受けると良いでしょう。

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