こんにちは、院長の松田です。夏本番で暑い日が続きますね。無理をせず、休憩と水分をこまめにとりながら、暑さを乗り切っていただきたいと思います。さて今回から、診療していてよく聞く症状について触れていきたいと思います。

心療内科・精神科では、「眠れない」という訴えを非常によく耳にします。眠れないと頭も体も休まった気がしなくて、とてもつらいですよね。そもそも、「眠れない」というのはどういうことを言うのでしょうか? 睡眠時間が8時間とれない場合は「眠れない」「不眠」に該当するのでしょうか?

私も小さい頃、8時間眠らないといけないよと聞いてきた記憶があります。実際には、8時間眠れないと睡眠不足であるということはありません。「日中の眠気がひどい」「平日と比べて休日に3時間以上長く眠らないといられない」ようなら、睡眠不足と判断します(睡眠障害の対応と治療ガイドライン参照)。この基準には「◯時間の睡眠」というように、睡眠時間の文言が含まれていません。つまり、何時間眠らないと不眠症という、万人に共通した基準はないということです。逆に言いますと、「日中に眠気で困らない」「日中にしっかり覚醒して過ごせる」程度の睡眠であれば十分と言えるでしょう。

実は、必要な睡眠時間は人それぞれです。とても長く眠らないと日中に差し支える方がいる一方、毎日短い睡眠でも十分に疲労が取れて日中に活動できる方もおられます。後者の方は、起きて活動できる時間が長いので、人生が長いと言えるかもしれません。うらやましいですね。また、加齢とともに必要な睡眠時間が短くなっていくとも言われます。赤ちゃんは寝るのが仕事、と言いますが、たしかに赤ちゃんは1日の半分くらい眠っていますよね。それが歳をとるにつれて徐々に短くなります。70歳を超えると平均6時間弱になるそうです。当たり前かもしれませんが、日中活発に過ごした場合や睡眠不足が続いた場合には、その後により長い睡眠が必要になります。そして季節によっても睡眠時間は変化すると言われています。日照時間の長い夏は睡眠が短くなり、逆に日照の短い冬は睡眠時間が長くなります。人間の体や睡眠も、季節の影響を受けるのですね。

このように、人間の睡眠は「◯時間」のように決められるものではありません。「眠れない」と悩まれる方の中に「8時間寝てないから」とご自身に言い聞かせてしまっている方がおられます。夜になるとこのことばかりが頭を巡り、かえって眠れない暗示がかかってしまうことにもなりかねません。まずは、

「睡眠時間にこだわらない」

「日中の眠気がなければOK」

「睡眠時間は人それぞれ」

「歳をとると睡眠時間は短くなる」

「季節によっても睡眠時間は異なる」

ということを知っていただければと思います。

今回は睡眠とは?というテーマに触れてみました。次回は、どうすれば眠りやすくなるのか?について書いてみようと思っています。「こころのとまり木」として、みなさまの「眠れた!」にも貢献できればと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。